「本物になるために、修行しよう」と思って野村證券に入社しましたが、いざ入ってみたら、びっくりするほどつらかったです。研修を終えて、最初に配属されたのは大阪の梅田支店でした。生まれてこの方福岡から離れたことがなかった私は、いろいろな不安を抱えて大阪に引っ越しました。
新人の最初の仕事は、新規開拓。飛び込みで営業をかけて新しいお客様を探すのですが、これが全くもってうまくいきませんでした。優秀で要領のいい同期は、どんどん新しいお客様を獲得してくるのですが、しゃべりがうまくなかった当時の私は全然結果が出せませんでした。今なら「損得に関しての絶対は言えないけど、私のことは絶対に信じてくれていい」といったことも言えます。でも、そのころは馬鹿正直に「いいとか悪いとか言えなくて……」といった話ぶりで、全く相手にされませんでした。覚悟がない人間に大切なお金の相談なんてしませんよね。当然の結果でした。
中には、「正直者でいい」とお客様になってくださって、結果的にファンになってくれた方もいましたが、成績としては全然奮いませんでした。梅田支店には同期が4人いたのですが、その中でも3番目か4番目。全国の新入社員の中でも下の方という散々な成績でした。そんな状態でしたから、いつも「辞めたいなあ」と思い悩んでいました。 しかし、私の指導担当の西村龍平さんが非常に良い方で、親身になって一緒にお客様回りに付き合ってくれました。「こいつに任せてやってください」と、先輩が頭を下げて回ってくれたおかげで契約も増えていきました。「自分のために動いてくれた先輩のためにも頑張ろう、いつかきっと恩返しをしよう!」と思えるようになっていったのです。